このページにキーワード検索で来られた方へ

お知りになりたいキーワードが掲載されている画像付きレポートは

以下のURLにて公開しております。是非ご覧下さい。

http://rindou-roman.travel.coocan.jp/reports/repo487/sheet/page-1.htm

※ホームページ「林道浪漫」では、毎月のツーリングレポートを

テキスト処理ではなく、photo shopにて「画像」として制作しております。

お手数をおかけしますが、宜しければトップページを「お気に入り」に登録して下さい。

今回の山旅は第50回目を迎える林道ヲタク定例オフ会を絡めた企画。オフ会の開催地は大菩薩の懐となる上日川ダム(大菩薩湖)近くとなるので、以前から踏査対象としていた【大蔵沢大鹿林道】とそれに接続する小金沢連嶺の「大蔵高丸・ハマイバ丸・大谷ヶ丸」の縦走周回山行とした。今回の山旅に同行するのは、これまで何度も私のマニアックな企画にお付き合い頂いている林道仲間のナベさんだ。今回ルートの踏破にはWデポが不可欠。我々の車両をA地点とB地点にデポして山行ルートを周回するのだ。そして今回踏査対象とした【大蔵沢大鹿林道】は、大月市側も甲州市側も双方が厳格なゲートで閉ざされている林道で、エンジン付きの乗り物では調査することが不可能な林道。特に甲州市側ゲート奥の様子は林道浪漫でも過去に訪れたことのない未知なる林道なのである。数十年前に遡ると当該林道は市境を越えて完抜する路線計画だったが、林道開設のよる自然環境破壊が問題視されて工事が頓挫してしまったのだ。さてその実態は･･･。

今回の休みはオフ会開催もあるので金土日休み。金曜日の昼間に千葉を出発してまずは八ヶ岳麓の長男夫婦宅へ。オフ会で使用する焚き火用の薪の調達を済ませなければならない。ミッションを完了させてから国道20号線下道で甲州市方向へ向かう。白州にある七賢酒造でオフ会用の日本酒一升を買い付け。この季節は熱燗でも美味しい酒のセレクトが重要。第2ミッションを終了させ、勝沼のコンビニで2日分の買い出しを済ませてから既に夕闇となった大菩薩の懐へと向かう。まずは天目山温泉へ。何度か利用したことのある安くて良い温泉だ。明日朝から山登りするので駐車場車中泊の話をしたら快諾して頂けたので幸い。温泉に浸かってカラカラになった喉に冷たいビールを流し込める最高のタイミングを確保できたわけだ。雲一つない星が満天の夜。明日の好天は既に確約されていた。

翌朝は6時起きだ。7時半にナベさんとデポA地点となる「天目トンネル」入口で合流する約束なので食事とコーヒーを飲んでから支度を始める。天目山温泉からトンネル出口までは車で何と1分。ナベさんの車と合流して私のハイエースは林道入口手前の路肩へ駐車。ナベさんの車に同乗してデポB地点となる焼山沢真木林道の湯の沢峠入口分岐へと向かう。完全舗装された山岳林道だが幅員が狭い区間も多いので、私のハイエースだと対向車が来たらアウトだ。30分程で現地に到着して最終的な登山の準備に取り掛かる。

湯の沢峠入口分岐をスタートし、未舗装区間の焼山沢真木林道を歩き出す。湯の沢峠のドンツキ駐車場まで2キロの道程。ナベさんの車ならこの区間を走行することは可能だが、スパロンのハイエースでは到底無理な路面と幅員だ。従ってWデポが成り立たない。太陽が当たり始めた林道は気温が低いながらも暖かさを感じる。のんびりとウォーミングアップを兼ねた歩み30分で到達する湯の沢峠駐車場。バイクでは幾度となく訪れたことのある場所だ。土曜日いとうこともあり、既に登山者の車が3台ほどで駐車していた。ここにある避難小屋は通電されている何とも珍しく快適な小屋。室内蛍光灯が使える避難小屋などそうそうあるものじゃない。

駐車場の先から登山道が始まり50メートル程進むと十字路分岐となる。左手は牛奥ノ雁ヶ腹摺山方面の縦走路。直進は真木小金沢林道へ至るルートとなるが、当該林道の途中から分岐する焼山沢真木林道は湯の沢峠近くまで林道が延びていて、峠で双方が繋がれば夢のような林道絵図となるハズだった。しかしながらゲート閉鎖は勿論、地形図で示されたドンツキまで行くことは徒歩以外不可能であるし、双方林道を完抜させる計画などはもう存在しない。そして肝心の我々の進むべきルートは右手だ。湯の沢峠の先は「大蔵高丸・ハマイバ丸・大谷ヶ丸」の三丸縦走路を歩む。紅葉も終わってすっかり落葉したルートは遮る物も少なく明るくて快適だ。複数ある鹿ゲートを開け閉めしながら淡々と進む。右手に見える冠雪した南アルプスの稜線が何とも美しい。

登山道脇にはロープが設置されており、「何人たりとも侵入禁止」の警告看板が何か所も立っていた。前方視界に大蔵高丸山頂が見え、湯の沢峠分岐から約40分で到達。ここから眺める富士山は最高の構図となり、ここから撮影する富士山写真愛好家も多いらしい。雲一つない快晴の天気で映える富士山の姿は最高だった。山頂をあとにしてお次はハマイバ丸を目指す。草原上になった緩い起伏のあるルートはとても歩きやすく、富士山の遠望も引き続き拝むことが出来る。約30分でハマイバ丸へ到達。漢字では「破魔射場丸」と書くようだ。落葉しているので木々の間からそれなりの景色を眺めることが出来る。因みに富士山方向はバッチリ視界が開けているので問題なし。

再び景色の開けた草原上ルートを経て天下石山頂を通過。その後小さなピークを通過して米背負峠のコルまで下りとなるが、急斜面のとても滑りやすい路面なので牛歩で安全優先。凍った霜が融けてぬかるんでいる。表面は乾いて見えてもその下はトラップになっているから要注意だ。我々の年齢は転倒が大きなリスクとなるからね。そして米背負峠の分岐点へ到達。この先はそのまま縦走路が滝子山まで続くが、最後の「丸」となる大谷ヶ丸はここから20分の急登となる今回ルートで一番シンドイ区間だ。急登を登り詰めて一旦軽く下降。再び登り返してから大谷ヶ丸山頂には11時に到達。ここでランチタイムを済ませてからいよいよ後半戦へ突入だ。

米背負峠のコルまで戻り、米背負沢沿いへの下降点を分岐。ここには「大蔵沢林道を経て甲斐大和駅」の道標がある。細く山肌にへばりつくような登山道を下降開始。15分くらい下ったポイントだろうか？予めGPSに仕込んでおいた取り付き地点を確認。正規登山道から外れて右斜面の山肌へジクザグに取り付く。フカフカの山肌は急斜面なのでキックステップしながらストックを屈指して何とか斜面を上がる。そして左前方に白いガードレールの端を確認。大蔵沢大鹿林道の最終掘削工事地点に辿り着いた。予想より林道の末端は延伸していたので、未踏ルートを歩く時間が短くて助かった。

さてこれからは当該林道の実態調査である。ここから終点となるゲートまでの標高差は約500メートル。谷が深く複雑な地形に建設された林道なので、正規登山道の倍の距離を歩くことになるのだ。林道の状況は予測していたとおりに荒廃。道路は舗装されているものの、落石や倒木、深い洗堀や路面欠落などのオンパレード。例えゲートが開いていたとしてもバイクでここまで来るのは不可能だ。林道の前半は登山道の沢筋を挟んで高所を並行。途中で漆黒のトンネルをヘッデンで通過。後半は遠く大きく回り込んで正規登山道との合流点へようやく辿り着いた。ここまで1時間強かかったのは何と言っても林道の極悪な路面状態である。

特に未舗装区間の路面はこぶし大の石が落ち葉の下に地雷のように無数にあり、踏ん付けて足首を捻りそうになること多数。登山道より始末が悪い状態だった。正規登山道との合流点からは先はずっと舗装されており、ここまでは工事関係車両が入り込んで来るようだ。そしてここからの林道歩きがまたまた辛い。ゲートまでのコースタイムは75分。この先も大蔵沢沿いの複雑な地形が続くので、まるでリアス式海岸をトレースするかのようだ。我々が以前踏破した栃木県の塩那道路40キロの歩きに比べれば大した事とはないのだが、我々もそう若くはないのでね。ゲートまでの到達距離がカウントダウンされ、最後の漆黒トンネルを抜けていよいよゴールは直前。林道の改修工事区間を通り抜けさせてもらい、14時30分にハイエース地点へと無事に返り咲いた。

ここからナベさんを乗せてB地点デポへ向かわなければならないが、朝方通った林道ルートはハイエースだと厳しいので遠回りは承知の助で大菩薩湖近くまで行き、日川林道を経て湯の沢峠分岐点へ向かう。B地点デポでナベさんと別れ、ナベさんはそのまま焼山沢真木林道を下って天目山温泉へ。私は再び日川林道を戻ってオフ会場所へと急いだ。現地には16時過ぎに到着。焚き火の準備をして50回目の林道ヲタクオフ会の開催だ。今回も参加者は全員で6名。本来今回幹事は他のメンバーだったが、先日バイクツーリング中に鹿と接触して大怪我を負う事件が発生してしまい、急遽ワタシがリカバリーする役になった経緯がある。その後温泉に立ち寄っていたナベさんも無事に合流して宴もたけなわ。潤沢に用意した焚き木のおかげで、寒さ知らずの酒池肉林宴は24時まで続いたのであった。

翌朝は氷点下2度程度でそんなに寒くない朝を迎え、7時半過ぎには太陽の光も当たり出して寒さはあまり感じない程になっていた。日曜日という事もあり、広い駐車場の登山口側には10台以上の登山者の車も散見。ほとんどの登山者は大菩薩嶺に向かうことだろう。オフ会は9時前に散会。ワタシは日曜日午後の中央道渋滞に巻き込まれるのだけは避けたいので速攻で帰宅の路へ。流石にこの時間なら中央道も首都高も渋滞まったくなしで、正午には無事に自宅へ帰ることが出来た。